腕相撲に主に必要な筋肉部位はどこ?|アジアメダリストのアームレスリング選手が解説


アジアのアームレスリングメダリストである著者が、腕相撲に関する質問に答えます。

今回の質問は「腕相撲で使われる主な筋肉はどけこですか?」です。

答えをお話しします。

※本記事は英文記事「What is the main muscle used in arm wrestling? | Asian medalist armwrestler explains about it」を翻訳したものです。

腕相撲に必要な主な筋肉部位



腕相撲に必要な筋肉を重要度の高い順に以下に示します。

1.前腕の筋肉
2.上腕二頭筋
3.広背筋
4.大胸筋
5.回旋腱板
6.上腕三頭筋

アームレスリングの2つの技



アームレスリング(腕相撲)には2つのテクニックがあり、どちらのテクニックを使用するかによって重要な筋肉が異なります。

アームレスリングの2つのテクニックは、「トップロール」と「フック」です。テクニックを簡単に説明します。

トップロール




ひじを支点にして、「てこの原理」で相手の指先を吊り上げます。

「トップロール」は、相手の指先を吊り上げる「ネイルプーラー=くぎ抜き」と同じ動きです。

「トップロール移動軌道」では、以下の3つの動作を円運動で行います。




1.相手の指先を吊り上げます

2.相手の拳を引きつけます

3.拳をロールして倒します

フック




これは筋力を必要とするテクニックです。

これがその方法です。

1.手首を巻きつけます

2.手前に引き寄せます

3.横方向に押し倒します

腕相撲のテクニックと前腕の筋肉



アームレスリングは「前腕スポーツ」とも呼ばれるため、前腕の筋肉の強さは非常に重要です。

このため、ほとんどのアームレスリングトレーニングは前腕トレーニングです。



ご覧のとおり、トップロールとフックの動きはまったく異なるため、必要な手首の強さ(前腕の筋肉部位)も異なります。

それは、以下の通りです。

1.トップロールに必要な手首の強さ

橈屈と回内

2.フックに必要な手首の強さ

掌屈と回外

それぞれに必要な筋肉の部分は次のとおりです。

1.トップロール=腕橈骨筋

2.フック=前腕屈筋群

腕相撲と上腕二頭筋



上腕ニ頭筋は、トップロールとフックの両方にとって重要な筋肉です。

ただし、この場合の強さは「ひじを曲げる力」ではありません。

上腕二頭筋の筋力の中で、アームレスリングに必要なのは「ひじの角度を直角に保つ力」です。



筋収縮には3つのタイプがあります。以下の通りです。

1.短縮性収縮:肘を曲げる時の収縮

2.伸長性収縮:肘を伸ばされる時に抵抗する収縮

3.等尺性収縮:肘の角度を保つための収縮

腕相撲では肘の角度を固定することは大切なので、「3.等尺性収縮」が非常に重要です。

このため、腕相撲のウエイトトレーニングでは、ひじの角度を直角前後に固定して行うことが重要です。

アームカールがあっても、ひじを積極的に曲げたり伸ばしたりする必要はありません。直角に曲げて維持する必要があります。

腕相撲と背中の筋肉



広背筋・僧帽筋・大円筋などの背筋群は、トップロールで相手に圧力(バックプレッシャー)をかけるために重要です。

ただし、ローイングトレーニングのように腕を後方に動かすのではなく、背中の筋肉を使って腕を後方に固定するために筋肉は使われます。

腕相撲と大胸筋



大胸筋はフックにとって重要な筋肉であり、相手にサイドプレッシャーをかけるために使用されます。

これは、フライ系トレーニングのように腕を動かす(閉じる)のではなく、腕を体の前部に固定するために大胸筋が使用されます。

腕相撲と上腕三頭筋



上腕三頭筋は主にフックに必要です。もちろん、ひじを伸ばすのには使われません。

上腕三頭筋には、肘を伸ばす動きのほかに、上腕を体幹に近づけて固定する「上腕の内転運動(脇の下を閉じる動き)」もあります。

この作用が、腕相撲には必要なのです。

腕相撲と回旋筋腱板(ローテーターカフ)



回旋腱板は、肩甲骨に上腕を接続する筋肉であり、アームレスリングに重要です。

この筋肉は、上腕を体幹に近づけて位置を保持する働きをします。

腕相撲と筋肉部位ごとのトレーニング



これまでに説明したアームレスリングに必要な各筋肉の代表的なトレーニング方法は次のとおりです。

1.前腕の筋肉:アームレスリングハンドルやリストカールでのトレーニング

2.上腕二頭筋:アームカール、チンアップ(逆手懸垂)

3.背中の筋肉:プルアップ(順手懸垂)、ラットマシンプルダウン

4.大胸筋:チェストプレス、チェストフライ

5.回旋筋腱板:インターナルローテーション

6.上腕三頭筋:プレスダウン

これらのトレーニングは、ケーブルマシンまたはダンベルで行うのが最適です。

それは、これらの方法で行われるトレーニングは柔軟な軌道を持ち、実際の腕相撲で必要な筋肉に効果的であるためです。

さらに詳しい腕相撲の解説



さらなる腕相撲の詳細については、次の記事を参照してください。


執筆者情報



上岡岳|Gaku Kamioka

生物学学芸員|Biology Museum Curator
教育学士|Bachelor of Education
フィジカルトレーナー|Physical trainer

一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟常任理事・レフリー委員長|JAWA (Japan Arm Wrestling Association) Executive Director, Head Referee

Mazurenko equipment Japan CEO

EzrealArmwrestlingClub Japan CEO

ONIARM-JAPAN armwrestling equipment CEO