上腕三頭筋(長頭・短頭)の筋トレメニュー|自宅~ジムでの各種目をアジアメダリストが解説

上腕三頭筋の筋トレメニューを長頭・短頭別に、また自宅(自重・チューブ・ダンベル)とジム(マシン・バーベル)別にアームレスリング元アジアメダリストの筆者が解説します。まずは、上腕三頭筋の構造と作用を見ていきましょう。

上腕三頭筋の構造と作用

名称:じょうわんさんとうきん|triceps

起始:肩甲骨関節下結節・上腕骨後面・上腕骨後面
停止:尺骨肘頭



上腕三頭筋は上腕骨の背面に位置する筋肉で、長頭と短頭(内側頭・外側頭)に分けられます。それぞれの作用は以下の通りです。

上腕二頭筋短頭:肘関節を伸ばす
上腕二頭筋長頭:肘関節を伸ばす・上腕を閉じる

なお、上腕三頭筋は大胸筋・三角筋前部・三角筋中部などと協働して上半身の押す動作に強く関与します。
参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/上腕三頭筋
それでは、ここからは上腕三頭筋の各筋トレメニューをご紹介していきます。

ベンチディップス


ベンチディップスのやり方と実施時のポイント

ベンチディップスを実施する上でまず気をつけたいポイントは、肘を開かず体幹に寄せたまま動作を行うことで、これにより負荷を効率的に上腕三頭筋に集中させることができます。

また、身体を下ろす深さは上腕が床と平行になる程度で十分で、これよりも深く下ろすと肘の関節や靭帯に負担がかかりますので注意してください。

なお、足を置く台の高さを高くすることで負荷を増やすことができ、逆に台を低くすることで負荷を減らすことが可能です。

ベンチディップスの種類とやり方

フロアーベンチディップス

フロアーベンチディップスは、台を使わずに床で行うバリエーションで、通常のベンチディップスよりも負荷が軽くなるのが特徴です。

ウエイテッドベンチディップス

ウエイテッドベンチディップスは、太ももの上にバーベルプレートやダンベルを乗せて行うバリエーションで、負荷を大幅に増やすことができる上級者向けのやり方です。

フットエレベイテッドベンチディップス

フットエレベイテッドベンチディップスは、手の高さよりも高い位置に足を乗せて行うバリエーションで、通常のベンチディップスよりも負荷が高くなります。

ナロープッシュアップ

ナロープッシュアップのやり方と実施時のポイント

ナロープッシュアップを実施する上でまず気をつけたいポイントは、手を平行に構える場合は肩幅程度より狭くせず、それ以上に狭く構える場合は両手の親指と人差し指で菱形を作って構えることです。これにより、手首関節に負担がかかることを防げます。

また、肘を開いて行うと上腕三頭筋短頭に負荷がかかり、逆に肘を閉じて体幹に寄せて行うと上腕三頭筋長頭に負荷がかかります。

なお、お腹を突き出したり、腰を曲げたフォームで行うと負荷が上腕三頭筋から逸れて大胸筋や三角筋にかかってしまいますので、しっかりと背すじを伸ばして行ってください。

ナロープッシュアップの種類とやり方

ダイヤモンドプッシュアップ

ダイヤモンドプッシュアップは両手の親指と人差し指で菱形(ダイヤモンド型)を作って行うバリエーションで、通常のナロープッシュアップよりもさらに手幅を狭くすることが可能です。

足上げナロープッシュアップ

足上げナロープッシュアップは、足を台などに乗せて行うバリエーションで、通常のナロープッシュアップよりも負荷を高めることができます。

膝つきナロープッシュアップ

膝つきナロープッシュアップは、膝をついて行うバリエーションで、通常のナロープッシュアップよりも負荷を軽くできる、初心者や女性向きのやり方です。

チューブフレンチプレス

チューブフレンチプレスのやり方と実施時のポイント

チューブフレンチプレスを実施する上でまず気をつけたいポイントは、肘の位置を動かさないように固定し、肘から先だけを動かす(肩関節を動かさない)ようにすることで、これにより負荷が大胸筋や広背筋に抜けてしまうのを防げます。

また、肘を伸ばした位置で手首を回内回旋させるとより一層上腕三頭筋が強く収縮して負荷が高まります。

なお、肘を開いて行うと上腕三頭筋短頭に負荷がかかりやすく、逆に肘を閉じて体幹に寄せて行うと負荷が上腕三頭筋長頭に集中します。

チューブフレンチプレスの種類とやり方

シーテッドチューブフレンチプレス

シーテッドチューブフレンチプレス(オーバーヘッドチューブフレンチプレス)は、座った状態で肘を頭上で固定して行うバリエーションで、上腕三頭筋の構造上、長頭に対するストレッチングが強くなるやり方です。

ハンマーグリップチューブフレンチプレス

ハンマーグリップチューブフレンチプレスは、ハンマーグリップ(手の平が向き合うような握り方)で行うバリエーションで、上腕三頭筋長頭に負荷がかかりやすいやり方です。

ワンハンドチューブフレンチプレス

ワンハンドチューブフレンチプレスは、片手で行うバリエーションで、もう片方の手を鍛える側の肘に添えて固定を補助できるやり方です。

チューブキックバック

チューブキックバックのやり方と実施時のポイント

チューブキックバックを実施する上でまず気をつけたいポイントは、肘の位置を動かさないように固定し、肘から先だけを動かす(肩関節を動かさない)ようにすることで、これにより負荷が広背筋や僧帽筋に抜けてしまうのを防げます。

また、肘を伸ばした位置で手首を回内回旋(手の平が上を向くように回す)させるとより一層上腕三頭筋が強く収縮して負荷が高まります。

なお、肘をやや開き気味にして行うと上腕三頭筋短頭に負荷がかかりやすく、逆に肘を閉じて体幹にしっかりと寄せて行うと負荷が上腕三頭筋長頭に集中します。

チューブキックバックの種類とやり方

スタンディングチューブキックバック

スタンディングチューブキックバックは、中腰になって立ち(ニーベントスタイル)、両腕を同時に行うバリエーションで、時間を短縮できるメリットがある反面、どうしても肘の固定が甘くなったり、反動を使いがちになってしまうため、しっかりと姿勢とフォームをできる上級者向きのやり方です。

チューブプレスダウン

チューブプレスダウンのやり方と実施時のポイント

チューブプレスダウンを実施する上でまず気をつけたいポイントは、肘の位置を動かさないように固定し、肘から先だけを動かす(肩関節を動かさない)ようにすることで、これにより負荷が大胸筋に抜けてしまうのを防げます(肘を動かすとプルオーバーに近い状態になってしまう)。

また、肘を伸ばした位置で手首を回内回旋(手の平が後ろを向くように回す)させるとより一層上腕三頭筋が強く収縮して負荷が高まります。

なお、肘を開いて行うと上腕三頭筋短頭に負荷がかかりやすく、逆に肘を閉じて体幹に寄せて行うと負荷が上腕三頭筋長頭に集中します。

チューブプレスダウンの種類とやり方

ハンマーグリップチューブプレスダウン

ハンマーグリップチューブプレスダウンは、手の平が向き合うような握り方(ハンマーグリップ)で行うバリエーションで、上腕三頭筋長頭に集中的に負荷をかけることができます。この場合、肘はしっかりと体幹に寄せて固定することが大切です。

ワンハンドチューブプレスダウン

ワンハンドチューブプレスダウンは、片側の腕だけで行うバリエーションで、もう片方の手で鍛える側の腕の肘を固定補助できることが最大のメリットです。

リバースグリップチューブプレスダウン

リバースグリップチューブプレスダウンは、手の平が上を向くような握り方で行うバリエーションで、通常のチューブプレスダウンよりも上腕三頭筋短頭に負荷を加えやすくなります。

ワイドグリップチューブプレスダウン

ワイドグリップチューブプレスダウンは、肩幅程度の広い手幅で行うバリエーションで、通常のやり方より上腕三頭筋短頭に対する負荷が高くなります。

ダンベルフレンチプレス

ダンベルフレンチプレスのやり方と実施時のポイント

ダンベルフレンチプレスを実施する上でまず気をつけたいポイントは、肘の位置を動かさないように固定し、肘から先だけを動かす(肩関節を動かさない)ようにすることで、これにより負荷が大胸筋や広背筋に抜けてしまうのを防げます(肩関節を動かすとダンベルプルオーバーに近い動作になってしまう)。

また、肘を頭上で固定するオーバーヘッドスタイル(画像のやり方)では、肩甲骨に接合している上腕三頭筋長頭のストレッチングも意識することが大切です。

なお、肘を開いて行うと上腕三頭筋短頭に負荷がかかりやすく、逆に肘を閉じて体幹に寄せて行うと負荷が上腕三頭筋長頭に集中します。

ダンベルフレンチプレスの種類とやり方

ライイングダンベルフレンチプレス

ライイングダンベルフレンチプレスは、ベンチに仰向けになって行うバリエーションで、重量をコントロールしやすいメリットがあります。しかし、上腕三頭筋の構造上、オーバーヘッドスタイルよりは伸展・収縮率が低いというデメリットがあります。

スタンディングダンベルフレンチプレス

スタンディングダンベルフレンチプレスは、立って行うバリエーションで、上腕三頭筋長頭に対して効率的な伸展・収縮を加えられるのが特徴です。反面、ある程度の基礎筋力がないと姿勢が維持しにくいため、中級者以降向きのやり方です。

シーテッドダンベルフレンチプレス

シーテッドダンベルフレンチプレスは、座ってオーバーヘッドスタイルで行うバリエーションで、スタンディングよりは姿勢を維持しやすいのがメリットです。

ワンハンドダンベルフレンチプレス

ワンハンドダンベルフレンチプレスは、オーバーヘッドスタイル+片腕で行うバリエーションで、もう片方の手を鍛える側の肘に添えて固定を補助できるやり方です。

ダンベルキックバック

ダンベルキックバックのやり方と実施時のポイント

ダンベルキックバックを実施する上でまず気をつけたいポイントは、肘の位置を動かさないように固定し、肘から先だけを動かす(肩関節を動かさない)ようにすることで、これにより負荷が広背筋や僧帽筋に抜けてしまうのを防げます(肩関節を動かすとダンベルローイングに近い動作になってしまう)。

また、肘を伸ばした位置で手首を回内回旋(手の平が上を向くように回す)させるとより一層上腕三頭筋が強く収縮して負荷が高まります。

なお、肘をやや開き気味にして行うと上腕三頭筋短頭に負荷がかかりやすく、逆に肘を閉じて体幹にしっかりと寄せて行うと負荷が上腕三頭筋長頭に集中します。

ダンベルキックバックの種類とやり方

スタンディングダンベルキックバック

スタンディングダンベルキックバックは、中腰になって立ち(ニーベントスタイル)、両腕を同時に行うバリエーションで、時間を短縮できるメリットがある反面、どうしても肘の固定が甘くなったり、反動を使いがちになってしまうため、しっかりと姿勢とフォームをできる上級者向きのやり方です。

ダンベルテイトプレス

ダンベルテイトプレスのやり方と実施時のポイント

ダンベルテイトプレスを実施する上でまず気をつけたいポイントは、肘の位置を動かさないように固定し、肘から先だけを動かす(肩関節を動かさない)ようにすることで、これにより負荷が他の筋肉部位に分散してしまうのを防げます。

また、大胸筋や三角筋に負荷が入らないよう、肩甲骨をしっかりと寄せた状態をキープすることも大切です。

なお、本種目は仕上げ種目としての意味合いが強く、高重量トレーニングには向きません。完全にコントロールできる重量設定で行うことが重要です。

ダンベルテイトプレスの種類とやり方

ワンハンドダンベルテイトプレス

ワンハンドダンベルテイトプレスは、もう片側の手で鍛える腕の肘を固定補助するバリエーションで、通常のダンベルテイトプレスよりも、上腕三頭筋に対して集中的な負荷をかけやすいやり方です。

スミスマシンナローベンチプレス

スミスマシンナローベンチプレスのやり方と実施時のポイント

スミスマシンナローベンチプレスを実施する上でまず気をつけたいポイントは、肩甲骨をしっかりと寄せた状態で動作を行うことで、これにより負荷が三角筋と大胸筋に逸れてしまうことを防げます。

また、手首に負担がかかることを避けるため、あまり狭い手幅で行わない(肩幅よりやや狭い程度)ことも大切です。

なお、肘をやや外側に開いて行うと上腕三頭筋短頭に負荷がかかり、肘を閉じて行うと上腕三頭筋長頭に負荷がかかります。

スミスマシンナローベンチプレスの種類とやり方

インクラインスミスマシンナローベンチプレス

インクラインスミスマシンナローベンチプレスは、インクラインベンチで行うバリエーションで、より意識を上腕三頭筋に集中できるやり方です。

デクラインスミスマシンナローベンチプレス

デクラインスミスマシンナローベンチプレスは、デクラインベンチで行うバリエーションで、より高重量でトレーニングすることが可能なやり方です。

マシンディップス

マシンディップスのやり方と実施時のポイント

マシンディップスを実施する上でまず気をつけたいポイントは、肘を開かず体幹に寄せたまま動作を行うことで、これにより負荷を効率的に上腕三頭筋に集中させることができます。

また、シート高を調整してスタート位置で上腕が床と平行になる程度にします。これよりも肘の角度が深くなる(鋭角になる)と肘の関節や靭帯に負担がかかりますので注意してください。

なお、通常はグリップ部分が複数あり、握り方・構え方によって負荷のかかる上腕三頭筋の部位が変化します。

マシンディップスの種類とやり方

ノーマルグリップマシンディップス

ノーマルグリップマシンディップスは、順手でグリップして行うバリエーションで、上腕三頭筋短頭に対して負荷をかけやすいやり方です。

パラレルグリップマシンディップス

パラレルグリップマシンディップスは、ハンマーグリップ(手の平が向き合うような握り方)で行うバリエーションで、上腕三頭筋長頭に対して強い負荷がかかるやり方です。

バーベルフレンチプレス

バーベルフレンチプレスのやり方と実施時のポイント

バーベルフレンチプレスを実施する上でまず気をつけたいポイントは、肘の位置を動かさないように固定し、肘から先だけを動かす(肩関節を動かさない)ようにすることで、これにより負荷が大胸筋や広背筋に抜けてしまうのを防げます(肩関節を動かすとバーベルプルオーバーに近い動作になってしまう)。

また、肘を頭上で固定するオーバーヘッドスタイル(画像のやり方)では、肩甲骨に接合している上腕三頭筋長頭のストレッチングも意識することが大切です。

なお、肘を開いて行うと上腕三頭筋短頭に負荷がかかりやすく、逆に肘を閉じて体幹に寄せて行うと負荷が上腕三頭筋長頭に集中します。

バーベルフレンチプレスの種類とやり方

ライイングバーベルフレンチプレス

ライイングバーベルフレンチプレスは、ベンチに仰向けになって行うバリエーションで、重量をコントロールしやすいメリットがあります。しかし、上腕三頭筋の構造上、オーバーヘッドスタイルよりは伸展・収縮率が低いというデメリットがあります。

スタンディングバーベルフレンチプレス

スタンディングバーベルフレンチプレスは、立って行うバリエーションで、上腕三頭筋長頭に対して効率的な伸展・収縮を加えられるのが特徴です。反面、ある程度の基礎筋力がないと姿勢が維持しにくいため、中級者以降向きのやり方です。

シーテッドバーベルフレンチプレス

シーテッドバーベルフレンチプレスは、座ってオーバーヘッドスタイルで行うバリエーションで、スタンディングよりは姿勢を維持しやすいのがメリットです。

腕のトレーニング方法一覧



腕(上腕・前腕)のトレーニング種目の一覧は下記のページをご参照ください。

腕(上腕・前腕)のウエイトトレーニング種目の一覧

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執筆者情報



上岡岳|Gaku Kamioka

生物学学芸員|Biology Museum Curator
教育学士|Bachelor of Education
フィジカルトレーナー|Physical trainer

一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟常任理事・レフリー委員長|JAWA (Japan Arm Wrestling Association) Executive Director, Head Referee
Mazurenko equipment Japan CEO
EzrealArmwrestlingClub Japan CEO
ONIARM-JAPAN armwrestling equipment CEO